2026 年 9 月時点で、Claude Code、Codex、Cursor、そして一連のオープンソース Coding Agent は、ディレクトリと SKILL.md という同じ開放形式を共有している。スキルは「もう一つのプラグイン市場」ではない。使うときだけ読む手順書だ。いまもリリース点検、レビュー手順、ロールバックの合言葉を CLAUDE.md や AGENTS.md に貼り付けるチームが多い。GitHub からコミュニティパックを数十個まとめて入れる人もいる。買うべき問いは、何個入れたかではない。その手順を毎ターン文脈に入れるべきか、description が別の仕事で誤発火するか、フォルダ内の scripts/ が起動ユーザーと同じ権限で走るかだ。本稿は開放標準の全文を復唱しない。入れ方と選定だけ答える。Claude Code と Codex に何を入れ、どう入れ、どう検収するか。
なぜグローバルプロンプトに手順を詰め続けると、すでに選び方を誤るのか
古いやり方と新しいやり方は、具体的にぶつかる。古いやり方はプロンプト先行だ。リポジトリ根にどんどん長くなる一冊を置き、毎セッション全文をモデルへ送る。新しいやり方はスキル先行だ。安定した事実は CLAUDE.md / AGENTS.md に残し、繰り返す多段階手順は SKILL.md にする。Agent は最初に名前と説明だけを見、使うときだけ本文を読む。同じ「このリリースを出せ」でも、古いやり方は毎ターン説明書代を払い、新しいやり方はリリース課題のときだけ払う。
これが趣味ではなくスケジュール案件になった理由は三つある。第一に、Claude Code はカスタムスラッシュコマンドを Skills に統合した。.claude/commands/deploy.md も .claude/skills/deploy/SKILL.md も /deploy になる。旧コマンドファイルは動き続ける。付属ファイル、自動発火、子 Agent という新しい能力はスキルディレクトリ側にだけある。第二に、Codex は開放標準どおり .agents/skills を現在ディレクトリからリポジトリ根まで上へ走査する。個人スキルは ~/.agents/skills。古い ~/.codex/skills もまだ見る。ディレクトリを間違えると「入れたのに呼べない」になる。第三に、Vercel の npx skills は同じパックを Claude Code、Codex、Cursor など数十の Agent ディレクトリへ書ける。横断再利用が成立するのは、一社の私有 frontmatter に縛って書いていないときだけだ。
見落としやすい層がある。Skills は MCP でも Function Calling でもない。MCP とツールプロトコルは「モデルが生きたインタフェースをどう呼ぶか」を決める。スキルは「この人間手順をいつ読むか」を決める。プロトコル層の設計は Function Calling とは何か。セッションをまたぐ動的状態もスキル本文に入れない。それは記憶層の仕事で、自前 Agent Memory vs SaaS で扱う。ハーネス自体の選定は Pi vs Claude Code vs Codex を見よ。
Agent Skills をどう分類するか
スキル名を横並びにすると、お気に入りは必ず膨らむ。誰が保守するか、いつ読むか、副作用があるかで三分類せよ。一分類欠けると評判しか残らない。
| 類型 | 代表 | 得られるもの | 自分で足すもの |
|---|---|---|---|
| 同梱スキル | Claude Code の /code-review、/verify、/doctor;Codex の skill-installer、review-agent | 公式が保守する手順。セッション内でスラッシュ呼び出し | プロジェクト起動レシピ。公式推定が外れたら自分で録る |
| プロジェクト手順 | .claude/skills/review-change、.agents/skills/release | リポジトリと一緒に動くリリース、レビュー、ロールバック | 説明を狭くし、「ちょっと直して」で誤発火させない |
| 横断規範 | ユーザー級ディレクトリ、または npx skills add vercel-labs/agent-skills | React 性能、アクセシビリティ、文言ルールなど移植可能な規則 | スクリプト監査。先に ~/.claude/skills へ入れて全リポジトリを汚さない |
Claude Code の同梱スキルはプロンプト編成であり、固定バイナリではない。/code-review、/debug、/run、/verify、/run-skill-generator、/doctor。後三者は v2.1.145 から README や package.json で起動を推定できる。複雑なプロジェクトでは一度 /run-skill-generator を走らせ、インストールコマンド、環境変数、起動スクリプトをリポジトリ内スキルに書け。毎回の再発見をやめられる。Codex が同梱するのは skill-installer、skill-creator、review-agent、openai-docs といった案内役だ。双方とも「名前と説明を先に見せ、使うとき本文を読む」漸進開示に従う。description 欄は飾りではない。短すぎれば発火しない。広すぎれば雑用でも発火する。
核心比較:入口、実行、コンテキスト、対象者
本当の差は入口にある。どの研究所のスキルカタログが大きいかではない。三枚のカードは同じ列名で並べよ。
| ツール | 入口 | 実行能力 | コンテキスト | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| Claude Code Skills | ターミナル /skill-name、または説明の自動一致;プロジェクト .claude/skills/、個人 ~/.claude/skills/、プラグインツリー | 手順を読み、付属スクリプトを走らせ、子 Agent に渡せる。旧 .claude/commands/ も動く | 名前と説明だけ先読み。本文は使うとき。読み込み前に ! で現場の diff を注入できる | すでに Claude 席があり、レビューとリリースをリポジトリ資産にしたい人 |
| Codex Skills | CLI / IDE の /skills または $skill-name;リポジトリを上へ .agents/skills;個人 ~/.agents/skills | 同じくスクリプトと参照文書を走らせる。$skill-installer が公式キュレーションを引く | 同じ漸進開示。既定は ChatGPT / Codex Web と同じアカウント | すでに OpenAI 生態にいて、既定隔離と一つのログインが欲しい人 |
| 横断インストーラ | npx skills add OWNER/REPO -a claude-code|codex。-g でユーザー級 | Agent ごとに対応ディレクトリへ書く。--skill で一つだけ入れられる | 実行時権限は持たない。読み込みは各 CLI の仕事 | 同じリポジトリで Claude Code、Codex、Cursor を同時に開く人 |
二枚目の表は「入ったつもり」の落とし穴だけを埋める。列名は揃える。空疎な形容に落とさない。
| ツール | 入口 | 実行能力 | コンテキスト | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 手書きスキル | 自分でディレクトリと SKILL.md を作る | 完全に監査できる。隠れたインストーラがない | 経路は今いる CLI と一致していなければならない | リリースやレビューが自前で、コミュニティパックに渡せない人 |
Codex $skill-installer | セッション内のドル接頭辞 | Linear などキュレーションを速く引ける | よく古い ~/.codex/skills に書く | Codex だけ使い、ユーザーディレクトリを二つ見る気がある人 |
npx skills | ターミナル。セッションに入らない | 一つのコマンドで複数 Agent を指定 | 各ツリーへシンボリックリンクまたは複製。更新は再実行 | 同じ React / アクセシビリティ規則をリポジトリと一緒に動かしたい人 |
# Claude Code — project skill (this repo only) mkdir -p .claude/skills/review-change # Codex — project skill (open .agents/ convention) mkdir -p .agents/skills/review-change # Personal skill, every repo on this machine mkdir -p ~/.claude/skills/review-change mkdir -p ~/.agents/skills/review-change # Cross-agent package manager (Vercel skills CLI) npx skills add vercel-labs/agent-skills --skill react-best-practices -a claude-code npx skills add vercel-labs/agent-skills --skill react-best-practices -a codex # Codex bundled installer (often writes ~/.codex/skills) # Inside a Codex session: # $skill-installer linear
最小の SKILL.md に必要なのは、開放標準の name と description だけだ。下のファイルで「発火するか、本文を読むか」を検収できる。scripts/ はそのループが退屈になるまで足すな。
--- name: review-change description: Reviews an uncommitted diff and lists risks. Use when the user asks what changed, wants a commit message, or asks to review the working tree. Do not use for greenfield feature design. --- ## Current changes Run git diff HEAD and summarize in three bullets. Flag missing tests, hardcoded secrets, and edits outside the named module. If the diff is empty, say so and stop.
Claude Code / Codex に実際に入れるべきスキル
推奨スタックは公式ストアの Top 10 ではない。副作用の梯子だ。同梱スキルは残す。プロジェクトスキルは毎週繰り返す手順だけ残す。横断規範は本文を読んだものだけ入れる。
| ツール | 入口 | 実行能力 | コンテキスト | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| Claude Code は残す | /doctor、/code-review、/debug | 設定診断、レビュー、障害調査。公式保守 | 固定コンテキストはほぼ食わない | すべての Claude Code 利用者 |
| Claude Code はリポジトリごとに録る | /run-skill-generator → /run、/verify | 起動と検収をリポジトリ内レシピにする | アプリを動かすときだけ読む | 起動が npm start 一本ではない人 |
| Codex は残す | skill-creator、review-agent、openai-docs | スキルの書き方、方針レビュー、公式文書 | 同梱。コミュニティ複製を足すな | すべての Codex 利用者 |
| 双方で検討する価値 | react-best-practices、web-design-guidelines | Vercel の工学規則。移植できる | npx skills で Agent ごとに入れる。リポジトリごとまとめて入れるな | React / Next の製品チーム |
| 既定では入れるな | 「どんな仕事でも使える」と書くコミュニティパック、未読 scripts/ の一括パック | 誤発火 + 起動ユーザーと同じ権限 | 説明が広いほど、毎ターン指名されやすい | この利用者になるべき人はいない |
個人開発者は先に review-change と release を一つずつ置き、そのあとで React 規範が要るか決める。小チームは「PR 前に必ず走らせる検査」をプロジェクトスキルにし、個人の好みはユーザー級 CLAUDE.md に残す。顧客パスをユーザー級スキルに書くな。企業はスキルをコードとして扱え。SKILL.md と scripts/ を PR で見る。未監査パックを ~/.agents/skills に繋ぐメンバーを許すな。
場面でどう選ぶか
| あなたがこうなら | これを選べ | 理由 |
|---|---|---|
| 同じリリースやレビュー手順を毎週繰り返し、手引がすでに一画面を超える | プロジェクト級 Skills。CLAUDE.md をこれ以上伸ばさない | 本文は使うときだけ読む。事実と手順が分かれる |
| プロンプトがいつも「出して」の一行で、Agent 向け文書がほぼない | まず同梱の /verify / review-agent、そのあとプロジェクトスキルを録る | 公式の後退を買い、それから自前レシピを固める |
| Claude Code と Codex を同時に開き、規則をリポジトリと一緒に動かしたい | 1 つの SKILL.md + npx skills -a | 形式は移植できる。経路はまだ各々書く |
| Codex の中だけで Linear / 公式文書を使う | $skill-installer。ただし ~/.codex/skills も見る | キュレーションは速い。ディレクトリが手書きスキルと分かれることがある |
| インストールスクリプト付きで、ディスクや秘密情報に触る | 先にリモート Mac かコンテナ。ユーザー級は後 | 同権は便利ではなくリスクだ |
| 「Agent を賢くする」コミュニティスキルを数十個入れたくなる | 入れるな。入れるならスクリプトを読んだ 1 個まで | 広い説明は無関係な仕事を長い本文へ引き込む |
推奨組み合わせ
A — 個人開発者、主 CLI は一つ: 同梱スキルは付けたままにする。リポジトリにコミットするのは二つだけ。未コミット diff のレビューと、既存スクリプトでのリリース。description に「いつ使う / いつ使わない」を書く。ファイル書き込みと bash はコンテナ、またはセッション単位で隔離するリモート Mac へ。ノード月額とプラン対照は Mac mini 料金。
B — 小規模製品チーム、Claude Code + Codex 併存: 規範系は npx skills で Agent ごとに react-best-practices または web-design-guidelines を入れる。カタログごとまとめて入れるな。リリースとロールバックはプロジェクトディレクトリだけに置き、PR で見る。個人の言い回しはユーザー級プロンプトに残し、スキルに入れない。両方の CLI を同じサンプルリリース課題で検収する。「片方で呼べるならもう片方も呼べる」と仮定するな。
C — 企業または高セキュリティ: スキルをコードとして扱う。ディレクトリ、スクリプト、説明は PR を通す。ユーザー級に未監査パックを繋ぐな。ネットワークや秘密情報に触るスクリプトは破棄可能なノードだけで走らせる。アカウントと納品境界は ヘルプセンター。隔離作業領域が要るときは、日常ノートを実験場にせず Mac mini レンタル からノードを見る。
よくある誤り
- お気に入りで選ぶ: 「入れるほど Agent は仕事ができる」。広い description は毎回、誤発火の予算だ。
- 手順をグローバルプロンプトに残す: 毎セッション載るリリース点検は、毎ターン払う説明書だ。
- 経路は共通だと仮定する: Claude Code の
.claude/skillsは Codex の既定根ではない。Codex インストーラはまだ~/.codex/skillsに書くことがある。 - スクリプトを読まずにユーザー級へ入れる:
scripts/は起動ユーザーの権限を継ぐ。先にプロジェクト、先に隔離ノード。 - コミュニティスキルでテストを置き換える:
/verifyと自前 CI は代替ではない。スキルは赤緑テストの代わりにならない。
導入手順:7 ステップ
CLAUDE.md/AGENTS.mdを開き、一段を超える手順を候補にする。リリース、レビュー、ロールバック、変更説明。事実は残し、手順は移す。scripts/なしのSKILL.mdを一つ書く。description に「いつ使う / いつ使わない」を書く。/review-changeまたは$review-changeで一度手動発火する。- 普通の口語でもう一度試し、自動発火するか見る。誤発火なら説明を直す。二個目を入れて覆い隠すな。
- Claude Code は
.claude/skills/、Codex は.agents/skills/。Cursor など他 Agent にも見せるならnpx skills add … -a。手で間違ったディレクトリへ写すな。 - 同梱スキルにプロジェクトスキル 2–4 個で止める。コミュニティパックは
SKILL.mdとスクリプトを読んだあとだけプロジェクトへ入れる。~/.claude/skillsや~/.agents/skillsを先に使うな。 scripts/付きはコンテナまたはリモート Mac で先に走らせる。秘密情報はプロンプトにもスキル本文にも入れない。セッション終了で作業領域を消せるようにする。- 同じリリースまたはレビュー課題で検収する。発火したか、どのファイルを触ったか、自前 CI は緑か。温かいローカルキャッシュの「緑っぽさ」は検収ではない。
FAQ
Skills と CLAUDE.md / AGENTS.md の違いは?
安定した事実は CLAUDE.md や AGENTS.md に置き、毎セッション読む。繰り返しの多段階手順は Skills に置き、使うときだけ本文を読む。リリース点検をグローバルプロンプトに詰めると、毎ターン説明書代を払う。
Claude Code と Codex で同じスキルを共有できる?
SKILL.md の開放形式は共有できる。経路と呼び出しは共有できない。Claude Code は .claude/skills/ と ~/.claude/skills/、Codex は .agents/skills/ と ~/.agents/skills/ を見る。古い ~/.codex/skills も走査される。横断導入は npx skills の -a。
GitHub の人気スキルを一括導入すべき?
すべきでない。広い description は誤発火する。scripts/ は自分と同じ権限で走る。SKILL.md とスクリプトを読んでからプロジェクトディレクトリへ入れる。ユーザー級に入れて全リポジトリへ漏らさない。
Codex の $skill-installer と npx skills の違いは?
$skill-installer は Codex 同梱インストーラで、よく ~/.codex/skills に書く。npx skills は横断パッケージマネージャで claude-code や codex を指定できる。手書きスキルは .agents/skills か .claude/skills へ。両方見てから「入っていない」と判断する。
スクリプト付き Skills を日常ノート PC で走らせてよいか?
走る。見知らぬリポジトリや本番秘密ではやらない。先にコンテナかリモート Mac で発火範囲と書き込み境界を確認し、チームリポジトリへ入れるかを決める。
まとめ
2026 年の Agent Skills 選定で、コミュニティ順位表を買い物かごにするな。まず入口の三類で選べ。同梱スキルは公式の後退、プロジェクトスキルは毎週繰り返すリリースとレビュー、横断規範は読んだものだけ。 Claude Code と Codex は形式を共有する。既定ディレクトリは共有しない。説明は狭く、スクリプトは後から、ユーザー級は例外であって既定ではない。切り出し、発火、経路、掃除できるノードを 7 手順の検収に書け。リモートノードは レンタル頁 と 料金頁 から。アカウントの問いは ヘルプセンター。